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当院の取り違え防止策

[2023.11.11]

患者様の取り違え、預かっている卵子・精子・胚(受精卵)の取り違えは絶対にあってはなりません。
培養部で行っている患者様の取り違え防止対策を図の①~⑧で行っていますので、順を追ってご紹介します。
採卵周期とは採卵を行う月経周期のことを指し、移植周期とは胚移植を行う月経周期を指します。

①採卵

採卵室と隣り合わせの場所に培養室があります。
採卵直前に、患者様ご本人に「名前・生年月日」を言っていただき、培養管理の「記録用紙」に間違いが無いか本人確認をします。
採卵終了後、卵子の見落としが無いか、3回見直します。→3回見て見落としがないことを確認し、採卵数の決定を行います。
採卵された卵子は「容器記載のID・名前(カタカナ表記)」、モニターで見る「卵子数」と記録用紙の「ID・名前」が同一か2人でダブルチェックを行います。

採卵された卵子を保管しておく培養庫では、一人の患者様に対して1つのヘヤを使用しております。
培養庫の扉に「ID・名前・卵子数」を記載し、一目でわかるようにしております。

②採精

採精後、精液カップが培養室に届いたら、患者様にご記入いただいた受け渡し表・カップの「ID・名前(漢字表記)」と培養管理の「記録用紙」が同一か2人でダブルチェックを行います。

人工授精のときには、シールの色でも区別しているため、受け渡し表・カップの「ID・名前(漢字表記)」とシールの「色」で同一患者様であるかダブルチェックします。

③精子調整

精液から受精に使える精子を回収することを精子調整といいます。
精子調整を行う前に、受け渡し表・カップの「ID・ご夫婦の名前(漢字表記)」と培養管理の「記録用紙」、使用する容器の「奥様のID・名前(カタカナ表記)」が同一か2人でダブルチェックを行います。
患者様おひとりずつ精子調整を行い、精液を培養液と混ぜるとき、精子用培養庫に入れるとき・出すときなど、患者様の検体に触れる前後で必ず「奥様のID・名前」が同一かダブルチェックします。

④受精操作

卵子と精子を合わせる操作を受精操作(体外受精・顕微授精)といいます。
操作を行う際には、必ず記録用紙を手元に置いておきます。
培養庫から卵子を取り出すときに「ID・名前(カタカナ表記)」モニターで見る「卵子数」を、精子用培養庫から精子を取り出すときに「奥様のID・名前(カタカナ表記)」「記録用紙」と同一かダブルチェックします。
受精用の培養液の容器にも「奥様のID・名前(カタカナ表記)・卵子数」を記入し、同一かダブルチェックします。

受精操作後、タイムラプスインキュベーターで5日間培養します。
タイムラプスインキュベーターはQRコードのついたシールで区別するため、シールの「ID・名前(カタカナ表記)」と記録用紙の「ID・名前(カタカナ表記)・卵子数」、モニターで見る「卵子数」をダブルチェックします。

⑤胚の観察

胚の育ち方をモニターで観察します。その際、記録用紙に「日にち・時間・観察者・スコア」を記録していきます。
観察する患者様と記録用紙が違ってはいけないため、観察は必ず2人で行い、必ず「名前・培養日数」が同一かダブルチェックします。

⑥胚の凍結

正常に発育した胚を胚移植周期まで凍結保存します。
操作を行う際には、必ず記録用紙を手元に置いておきます。
培養庫から胚を取り出し、凍結液に入れる際、「ID・名前・胚ナンバー」「記録用紙」と同一かダブルチェックします。
また、液体窒素内で保管する際の容器にも「ID・名前・凍結日・胚グレード」を記入し、正しいかダブルチェックします。

凍結容器に胚が入っているか、個数をダブルチェックします。
凍結操作終了後、記録用紙の「廃棄される胚ナンバー」とモニターで見る「廃棄卵」は正しいかダブルチェックします。廃棄卵が無い場合も、無いことをダブルチェックします。

⑦胚の融解

液体窒素から胚を取り出す際に、「ID・名前・凍結日・凍結容器の色」をダブルチェックします。
医師による指示通りの胚であるのか、ファイルメーカーでも確認します。
操作を行う際には、必ず記録用紙を手元に置いておきます。
液体窒素から培養液に胚を入れる際、モニターで胚があるかダブルチェックします。もし何か異常があればすぐに操作者を交代する制度を導入しております。
融解操作終了後、容器と記録用紙の「ID・名前」とモニターで見る「胚の数」をダブルチェックし、培養庫で移植まで保管します。

融解後の胚を保管しておく培養庫では、一人の患者様に対して培養庫1つのヘヤを使用しております。
培養庫の扉に「ID・名前・胚の数」を記載し、一目でわかるようにしております。

⑧胚移植

採卵室(移植と同じ部屋)と隣り合わせの場所に培養室があります。
胚移植直前に、患者様ご本人に「名前・生年月日」を言っていただき、培養管理の「記録用紙」に間違いが無いか本人確認をします。
医師と移植する胚の状態を確認し、胚移植は培養士2人と医師・看護師で行います。

保管していた培養庫から胚を取り出す際、容器と記録用紙の「ID・名前」をダブルチェックします。その後、胚の状態を最終確認し、胚移植します。

 

以上のようにして採卵周期では20回以上のチェック、胚移植周期では5回以上のチェックが入ります。

患者様からは直接見えない場所で大事な卵子・精子・胚(受精卵)を預かっていますので、わからないことや知りたいことがあればお気軽にお尋ねください。

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