着床不全検査
体外受精において良好な胚を移植しても着床・妊娠しない状態を「着床不全」といいます。着床不全の原因として以下があげられます。
- 受精卵の異常
- 子宮内の環境の異常
- 受精卵を受け入れる免疫寛容の異常
それぞれ原因を調べるために当院では以下の検査を行っております。
受精卵の異常について
移植を行う胚に染色体異常があり着床しない場合があります。
着床前遺伝子診断(PGT-A・PGT-SR)
移植をする前に胚の遺伝子診断を行い、胚の染色体異常が無いかを調べます。
当院は日本産科婦人科学会より着床前診断実施施設に承認されています。
子宮内環境の異常について
子宮内が細菌感染によって炎症を起こし受精卵の着床を妨げている場合があります。
子宮鏡検査
子宮内腔をカメラで観察し、胚の着床を妨げている粘膜下筋腫、子宮内腔癒着、子宮内膜ポリープ、慢性子宮内膜炎がないか調べます。
TRIO検査(ERA/EMMA/ALICE)
ERA:子宮内膜が移植に適する時期を調べます。
EMMA:子宮内膜が健康な状態にあるか調べます。
ALICE:子宮内膜が炎症を起こしていないか調べます。
受精卵を受け入れる免疫寛容の異常について
受精卵に対して拒絶反応が強く免疫学的に受け入れない状態があると考えられています。
Th1/Th2採血
Th1(1型)とTh2(2型)のヘルパーT細胞のバランスを調べる検査です。
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Th2が優位:妊娠の維持に適した状態
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Th1が優位:免疫の攻撃性が強く、着床しづらくなる可能性があります
採血の結果で、Th1/Th2比が高値の場合は免疫抑制剤「タクロリムスカプセル」を処方します。
ビタミンD採血
ビタミンD不足である場合、妊娠率に影響します。
血液検査でビタミンDの不足がみられた場合、ビタミンⅮのサプリメントを処方します。
治療ステップ
当院では着床不全回数に応じて検査を順に行っております。
2回着床不全:Th1/Th2・ビタミンD採血、子宮鏡検査
3回着床不全:TRIO検査、着床前遺伝子検査